『丹鶴城主の姫君の丹鶴姫は子供が好きださうで、 夕方、 子供がひとりでそのあたりを通つてゐると、 緋の袴の姿で丘の上へ現れて来て扇で子供をまねく。 招かれた子供は次の日の朝になると死んでゐるといふのである。 その丹鶴姫の使いが黒い兎で、 子供の通る道の前をひよいと横切ることがある。 やつぱりそれを見た子供は死ななけりやならないともいふ。 』